【ヨガ講師|野口あかね】ハワイで覚悟を決めた。「強さ」を追い続けた私が、仲間と共に歩む経営者になるまで
野口あかねさんは、大分でヨガサロン「ロコア」を2店舗経営するヨガ講師です。腰痛や肩こりからストレスまで、ヨガを通じて体と心の両面に向き合うスタジオを経営しています。野口さん自身は、全身を使って動き続けるアシュタンガヨガを担当。生徒からは「スパルタだけど面白い」と評判です。
ヨガとの出会いは、ワンオペ育児のなかで涙するほどの解放感を味わったことでした。その後ハワイでの修行に飛び込み「自分に正直に生きる」と覚悟。経営者としての人生をスタートします。
しかし2020年スタジオ開業直後に、コロナ禍が直撃。諦めずに経営を立て直して、北原孝彦アカデミー(※)(以下、アカデミー)入会後は、長年苦手だった「仲間作り」にも挑み続けています。
「覚悟が決まると、人は強くなれる」を体現してきた野口さんに、これまでの歩みをお聞きしました。
※北原孝彦アカデミー:UBM(ビジネス行動管理大学)の学びをベースにしながら、北原孝彦のより近くで学ぶ区画。北原氏が直接指導にあたる。メンバーは経営スキルだけでなく、人としての在り方を学ぶ。
体と心を整える。ロコアが大切にするヨガの哲学

――まずはヨガサロン「ロコア」について教えてください。
大分市内に2店舗あるヨガスタジオです。最大8名の少人数クラスで、目的や体質に合わせて20種類以上のレッスンを用意しています。その他にダイエットコース、パーソナルコース、子連れ可能なママ向けコース、企業様向けコースなども行っています。

――主にどのような方が通っているのでしょうか?
一番多いのは、40代から50代の方ですね。来られる目的は大きく二つあって、一つは体の悩み。腰痛や肩こりを改善したい、姿勢を良くしたい、ダイエットをしたい、という方です。もう一つは心の面で、ストレスケアや心のケア、うつの再発予防のために来られる方もいます。
――レッスンを受けた生徒さんには、どのような変化がありますか?
体の面では、腰痛の痛みが減った、体が引き締まった、ダイエットできた、との声があります。心の面では「考え方が変わった」という方が多いですね。もともとネガティブな方が「考えても仕方がない」と思えるようになったり、周りに気を遣ってばかりの方が「自分を大切にしよう」と思えるようになったりします。

――考え方ですか。なぜヨガで心が変わるのでしょうか。
ヨガは基本的には体を動かすのですが、自分のことを知る時間でもあります。レッスン中は「気持ちがいいところまで伸ばしてください」「無理しないでくださいね」と声掛けをしています。体の感覚を味わいながら受け止めていく。すると生徒さんは、普段から「頑張らなきゃ」と力んでいた自分に気がつくんですよ。こういった心の影響は、他の運動ではなかなか得られないですね。

――ところで、店舗名の「ロコア」にはどんな由来があるのですか?
イタリア語で休息を意味する「ロコ」、心・中心という意味の「コア」を組み合わせた造語です。コンセプトは「本当の自分に戻る場所」。私の専門はハードなアシュタンガヨガなのですが、動き続けた先でこそ本当に自分に帰れる気がしています。
――アシュタンガヨガ?
アシュタンガヨガとは、最初から最後まで全部順番が決まっていて、連続してポーズを行い続けるパワー系のヨガです。1時間止まることがほぼないので、汗がたくさん出ます。
毎朝練習するのが特徴で「心が強くなりたい人」におすすめです。ハードな内容なので毎朝ヨガマットのうえに立つことに、くじけそうになるんですよ。難しいポーズにどう向き合うかを考えるので、心も鍛えられます。
――想像するだけでも大変そうです……!
難しいですが、私が分かりやすく楽しく教えるので安心してください。生徒さんが始める入り口は「体を引き締めたい」「汗をかきたい」という声が多いです。しかし、続けていくと、最終的には「気持ちが強くなった」など、自分の体が変わっていくのが楽しいという変化が出てきます。柔軟性がつくのも、筋力や体力がつくのも早いので、変化が分かりやすいんですよね。
――生徒さんからはレッスンについて、どんな感想があがっていますか?
「スパルタだけど面白い」と言われます。実は、自分で「できない」と思っていることでも、ちょっとしたコツで「できる」ようになる場合が多いんです。私は生徒さんの可能性を信じているので、「できるよ、やってみて」と伝えています。それがスパルタと言われる理由なのかもしれませんね。

――ロコアの公式サイトで、ヨガインストラクター養成講座についても拝見しました。こちらについても教えてください。
ヨガ講師を育てるための講座で、アシュタンガヨガをベースに、哲学、解剖学、講師になるための指導方法などを、200時間かけて対面で教えています。RYT200という全米ヨガアライアンスのヨガ資格も取得できる講座です。
また、講座卒業後のヨガ講師向けに、集客や開業をサポートする講座も始めました。

ヨガとの出会いはワンオペ育児のなかで泣いた日
――野口さんのこれまでについても教えてください。ヨガを始める前は、どんなお仕事をしていたのですか?
20代の頃は美容師の仕事をしていました。高校生のときから美容室でアルバイトをしながら通信の美容学校に通い、就職しました。しかし薬剤が体に合わなくて退職し、専業主婦になったんです。その後、出産・育児をきっかけにヨガを始めました。
――ヨガを始めたきっかけはなんでしょうか?
私が31歳だった2017年頃、一人で子育てをしているなかで、体力が衰えてきているのを感じていました。「このままではまずい」と思い、近くのヨガスタジオに行ったのが最初のきっかけでしたね。あらゆる運動のなかでヨガを選んだ理由は「なんだかオシャレで楽しそうだな」と思ったからです。

――実際にヨガスタジオに行ってみて、どうでしたか?
「やっと心が解放された」と思いました。それまでワンオペで子育てを頑張っていて、物理的に忙しいのに加えて「いいお母さんでいなきゃ」「いい子育てをしなきゃ」と自分自身を縛りつけていたんです。しかし、ヨガをすることで「自分の時間を持っていいんだ」と気づき、なんだか涙が出ました。
そしてヨガにどんどんハマり「子どもとヨガができたらいいな」と思い、キッズヨガの資格の勉強も始めたんです。ヨガを始めて半年後には資格を取得していました。とはいえ、当時は先生になるつもりはなくて、もっと深く学びたいという気持ちからでした。
しかし、32歳のときに養成講座の先生に「うちで働きませんか?」と声をかけていただき、レッスンを担当することになったんです。
――人に教えることで、何かご自身に変化はありましたか?
はい。「こんな人見知りの私でも、人前に立って教えることができるんだ」と驚きましたね。
講師業自体は楽しかったのですが、「このまま教えていいんだろうか」という不安が大きくなっていってしまって……。自分には人より秀でた才能も特技もないし、空っぽだ。教え方も合っているか分からないし、生徒さんにケガをさせてしまったら……と、どんどん不安になってしまったんです。
「こんな未熟な自分では人に教えられない」と思うようになりました。そこで、一度仕事を辞めてハワイへ修行に行くことを決めました。
仕事を辞めてハワイへ。覚悟が決まった3週間

――思い切った行動ですね!ハワイではどんな修行をしたのでしょうか?
アシュタンガヨガの修行です。知人に紹介された、ハワイ在住のヨガ指導者・ヨーコ・フジワラ先生のもとで3週間みっちり学びました。ヨーコ先生は本当に素敵な方なんです。
――ヨーコ先生のどんなところに惹かれたのですか?
一言で言うと、強さです。ヨガのポーズが美しいのはもちろん、鍛えられた肉体から感じる努力や練習の量に惹かれました。それに加えて、生き様にも感動しましたね。「日本からハワイに渡ってヨガを教えているなんて、強くてカッコいい!」と思ったんです。

――3週間の修行期間は、どのように過ごしたのでしょうか?
生徒みんなで同じ施設に住み込み、ヨガを学びました。毎朝7時から1時間自分の練習をして、午前中はポーズの勉強、午後は解剖学、夜はヨガの哲学を学ぶ、という毎日でしたね。
ヨーコ先生のヨガに対する熱意を目の当たりにしながら、自分自身に練習を課す日々。じっくりヨガを深めることで、人生の指針と覚悟が決まりました。

――指針と覚悟とは?
指針とは、「どう生きたら幸せになるか」です。ヨガの哲学では、「宇宙の流れに身を任せる」と学びます。自分ができる目の前のことを一生懸命行う。しかし、結果は宇宙の流れに委ねよう、と。その哲学が腑に落ちることで、「目の前のことは一生懸命取り組むけれど、上手くいかないことも受け入れよう」と人生の土台が決まりました。
覚悟については、「自分に正直に生きよう」と決めました。やりたくないことはやらず、やりたいと思ったことをやろうと決意したんです。
一人での限界、そして北原さんの「強さ」に出会うまで

――ハワイから戻ったあとのことも教えてください。
ハワイで「やりたいと思ったことをやる」と決意を固めて帰国し、公民館で自主開催のレッスンを始めました。子どもたちが幼稚園や小学校に行っている間に、週3回のレッスンを実施。そして、2020年にヨガサロン「ロコア」をオープンしました。
――素晴らしいですね!その後は順調にレッスンを展開していたのでしょうか?
それが、オープン直後に新型コロナウイルスが流行してしまって……。
営業自粛の期間もあり、お客様は当初の三分の一に減りましたが、コロナに関する事業者向け助成金でなんとか乗り切りました。「こんな状況だし、仕方ない」と思いつつも、勤務してくれているスタッフに給与を払うために、経営の勉強会に足を運びました。
そこでコロナ禍でも収益を伸ばしている経営者さんたちと出会い、「コロナではなく、私が悪いんだ」と気がついたんです。それから、まずはGoogle広告を学び、集客が安定していきました。
また、店舗では利益を出しづらい状況だったため「無形商品を作ろう」と考えて、スピリチュアル系の講座を受けるなど、いろいろと挑戦したのですが……こちらは、あまり上手くいきませんでしたね。
そんな課題を抱えていた2022年頃、YouTubeで北原さんを知りました。
――北原さんへの第一印象はいかがでしたか?
まず、容姿にインパクトがあるな、と感じましたね(笑)。そして、北原さんの話している内容は、同じ店舗経営者としてとても勉強になると感じました。そこから少しずつ動画を追いかけるようになったんです。
その頃にはコロナが収束に向かっていて、ヨガサロンの2店舗目をオープンして忙しかった時期で。「さらに3店舗目も出したいな」と思っていたのですが、それまでマンパワーで経営してきたものの限界を感じていて……。これ以上事業を大きくする方法が分からず、このまま一人で続けるのは困難だと思い、2024年8月にUBM(※)入会を決めました。
※UBM(ビジネス行動管理大学):北原孝彦が代表を務めるビジネス塾。2020年に「北原の精神と時の部屋」として設立、2024年11月に現名称に改称。
――UBM入会後、売り上げの変化はありましたか?
入会前は年商1200万円だったのが、1年後には年商1800万円になりました。店舗展開の専門である山本智大さんのコンサルを受けて、ゼロから施策を見直したんです。それまではGoogle広告のみだったのを、Instagramの発信もスタートさせました。
――大きな飛躍ですね!その頃は北原さんからもアドバイスを受けていたのですか?
実は、入会時点では北原さんと直接の接点はなかったんです。その後アカデミーの存在を知り、「北原さんの近くで学びたい」「基準値が高い方がいる環境に身を置きたい」と思うようになり、2025年11月にアカデミーに入会しました。そこで初めて、北原さんとお話ししましたね。

――改めて、北原さんのどんな部分に惹かれていますか?
一言で言うと、強さです。ずっと同じことを言い続けている、ずっとYouTubeを続けている、ずっと本気で人と向き合っているところが変わらない。生き方がブレない方だと感じます。ハワイのヨーコ先生も北原さんにも共通しているのは「強さ」で、私はずっと「強さ」に惹かれてきたんだなと、今気がつきました。
ほかには「ひとりぼっちを作らない」という北原さんの姿勢も好きです。仲間を大切にするところも、尊敬しています。

仲間が苦手だった私が、今、仲間を作っている
――UBM入会以前から、スタッフの方々と共に事業を運営している野口さん。「人と共に仕事をすること」についての考えを聞かせてください。
実は、仲間を作ることにはずっと苦手意識がありました。人に頼ることが苦手で、「時間を取って申し訳ないな」「呼び出していいのかな」と遠慮してしまうタイプなんです。幼少期からずっとそうでした。
誰とでも良好な関係を築けますが、最も親しい友人はいないし、所属先もない。特定の場所に定着せず、孤立しているような感覚でした。振り返れば、自分で壁を作っていたのかもしれません。
しかし本音では、仲間が欲しかったんですよね。北原さんがずっと「仲間を作る大切さ」「”共に”という生き方ができる人の増やし方」を伝えてくれています。今はそれを信じて取り組もうと思い、動き始めています。
――素敵な変化ですね。どんなことを始めたのでしょうか?
大きく二つあります。一つは、地域とのつながりを作ること。地元・大分で事業をしているのに、地域の人たちとの関わりが無いと気づきました。今は、地域の交流会への参加や勉強会の開催をするようになりました。
さらに、2026年1月からはUBMの大分支部長も務めています。支部会にヨガの生徒さんが来てくれるようになり、「野口さんと一緒に事業をしたいです」と言ってくれました。「同じ基準値で一緒に働きたい」と言われることが今までなかったので、なおさら嬉しかったです。


――もう一つの始めたこととは?
スタッフに向けての勉強会です。アカデミーの食事会で北原さんに「スタッフ勉強会をしなさい」と言われて、大分に帰ってすぐ準備しました。原理原則の話や、お客様とどう向き合うかという話題をメインに、月2回開催しています。
――「原理原則」の具体的な内容を教えてください。
例えば、北原さんがよくおっしゃる「可愛がられる人になろう」ということを、スタッフに伝えています。お客様に勧められた本を読んで「読みました」と報告する。美味しいお店を教えてもらったら行ってみる。自分の話をするのではなく、お客様の話を聞くということなど、小さなことが大切だと伝えています。
その結果、スタッフからお客様への声掛けが増え、傾聴力も上がり、ヨガサロンの入会率も向上しました。以前は体験入会のお客様が入会する割合が50〜70%だったのが、安定して70%以上になってきました。

――スタッフとの関係も変化しましたか?
はい。今まで私一人で取り組んできたことを、「一緒に働きたい」と言ってくれる方に任せるようになりました。例えば、養成講座を別の先生にお願いしてチーム化したり、毎月のイベントレッスンの内容を自主的に考えてもらったりするなど、いろいろと実践中です。
スタッフからは「挑戦したいと思っていたけど、一歩踏み出せなかった。踏み出す勇気をもらえた」との声をいただきました。北原さんが言う「”共に”という生き方ができる人」が増えてきたのかなと思います。

――最後に、野口さんの今後の展望を教えてください。
ヨガの養成講座を全国でオンラインで展開していきたいと思っています。チームができてきたからこそ、私一人では届けられなかった場所にも届けられます。
他には、それぞれの先生の得意分野を活かした短期講座の作成や、他の先生を紹介するサイトも作っていきたいと考えています。
起業時からずっと「無形商品を作りたい」と思っていたので、講座ビジネスがやっと形になりそうでワクワクしています。それもすべて、私と共に生きてくれる仲間がいるからこそです。大分から全国へ。ヨガを通じて「体と心が整う」を届けていきたいです。
取材を終えて
取材を通して何度も出てきたのが、「強さ」という言葉でした。ヨガの師匠・ヨーコさんも、経営の師匠・北原さんも、野口さんが惹かれた理由は共通して「迷いなくブレない強さ」でした。
でも、話を聞けば聞くほど、その強さは野口さん自身も持っているものだと感じます。「ヨガで生きる」と覚悟を決め、進む方向を一切ブレさせない。だからこそ、生徒さんもスタッフも、野口さんの周りに自然と集まってくるのだろうなと感じました。
(記事制作:ひとひら企画/インタビュアー:渡辺まりこ、人生の軌跡グラフ制作:Emodea・相場綾香)
※掲載情報は2026年6月現在のものです。最新情報は公式サイト等をご確認ください。

