【飲食店経営|中山夢路】毎月200万円の赤字が3カ月で黒字化。家族経営の飲食店がV字回復するまで

横浜・関内エリアで家族とともに3店舗を営む中山夢路さん。「Pizza Cozou(ピザコゾウ)」を中心に年商1.4億円、店舗営業利益20%超を達成していますが、かつては毎月150〜200万円の赤字を抱え、資金ショートまであと数カ月という状況でした。 

そんななかで北原孝彦さんと出会い、「北原の精神と時の部屋」(※)(現UBM)へ入会。教えを愚直に実行し、わずか3カ月で黒字化を達成しました。また数字と向き合う過程で、経営だけでなく、家族や従業員、周囲の人たちとの関係にも変化が生まれていったそうです。

今では、飲食経営者向けのV字回復勉強会や赤字店舗救済サポートも展開する中山さん。黒字化の秘訣を、これまでの歩みを伺いながら探りました。

※北原の精神と時の部屋:北原孝彦が代表を務めるビジネス塾。2020年に設立し、2024年11月にUBM(ビジネス行動管理大学)に改称。

「見せ方」を変えて、仕入れはまとめる 家族経営のスケールメリット

――WebサイトInstagramを見ました。「ピザコゾウ」・「溶岩焼きグリルと世界のワイン 肉助」・「コゾウタン」の3店舗を経営しているんですね。

1号店の「ピザコゾウ」は石窯で焼くピザが看板メニューで、グラスワインも390円からとカジュアルに楽しめるイタリアンバルです。2号店の「溶岩焼きグリル 肉助」は個室中心で、店内でブロック肉を捌いてお出ししています。A4の黒毛和牛をリーズナブルに提供しているのが特徴ですね。3号店の「コゾウタン」は、通常の1.5倍ボリュームの牛タンタワーが看板メニューです。

――どれもおいしそうです!ちなみにA4の黒毛和牛をリーズナブルに提供できるのはなぜですか?

ブランドにこだわらず仕入れているからです。「◯◯牛」のようにブランド名が付くと、それだけで価格が一気に上がってしまいます。だから、その時々で「この価格で出せる一番おいしい肉」を卸していただいています。

また、3店舗で同じ肉を使っているため、仕入れ量も多くなります。同じ種類の肉を同じ業者さんからまとめて仕入れることで、価格も抑えやすい。だからこそ、ブランド牛より1〜2割ほど安く、A4ランクの黒毛和牛を提供できているんです。

――おいしいお肉を仕入れるには、目利きも重要になるのでは?

兄弟全員、飲食店で修行した経験がなかったので、最初の頃は、識別番号を確認できるアプリを使って、自分たちで定めた基準を満たしているかを一つひとつ確認しながら仕入れていました。今は業者さんとも長いお付き合いになり、信頼関係のなかで質のいいお肉を仕入れられるようになっています。

「3カ月で黒字化」の経験が、同じ苦しみを抱える飲食経営者の希望になった

――飲食事業の他にも、展開されている事業はありますか ?

はい。飲食経営者向けのV字回復勉強会、起業家のたまり場運営、赤字店舗救済サポートなどを並行して行っています。

――そもそも、勉強会を始めたきっかけは何だったんでしょうか。

これはUBM(※)に入るきっかけにつながるのですが、2024年に月150〜200万円の赤字という状況になって。そこから北原さんにアドバイスをいただいて、3カ月で黒字化できたんです。そのことを話したら周りの飲食経営者の方から「どうやって改善したの?」と聞かれることが増えて、ニーズがあるならお伝えしようとしたのが始まりです。

※UBM(ビジネス行動管理大学):北原孝彦が代表を務めるビジネス塾。2020年に「北原の精神と時の部屋」として設立、2024年11月に現名称に改称。

――勉強会では、具体的にどのような内容をお話ししているんですか。

北原さんから学んだスケジュールの立て方や、「メーカーの方から可愛がられる動き方」など概念的な話を飲食店の具体例に落とし込んでお伝えしています。

あと勉強会の延長線上で、「起業家のたまり場」も運営しています。経営の悩みや進捗を共有できるオープンチャットに加え、Zoom作業会では目標を決めて一緒に手を動かす時間も作っています。

――「赤字店舗救済サポート」についても教えてください。具体的には、どういったサポートをしていますか。

自分がやってきた経験をそのままお伝えするスタイルです。まず無料相談を受け、必要な方には勉強会へ、さらに深いサポートが必要な方にはコンサルへ、という流れで対応しています。

飲食業界は、想像以上に厳しい世界です。 創業から5年以内に9割のお店が廃業するというデータがあります。

――怖いですね……。赤字店舗を立て直すうえで、まず見るべきポイントはどこでしょうか?

ポイントは、まず経費を洗い出すことです。飲食店のような店舗型のビジネスは、とにかく利益率が低いので、すべての経費をきちんと可視化できていないと難しいんです。まずは経費を見える状態にして、そこから一つずつ「これは本当に売上につながっているのか」を確認していきます。

表に出なくても結果を出せる。マネジメントに目覚めた20代

――中山さんご自身のこれまでについても伺いたいです。

高校を中退して、就職しては辞めることを繰り返していました。その後、高卒認定を取って、当時好きだったおぎやはぎさんやバナナマンさん、バカリズムさんに影響を受け、お笑い専門学校へ進みました。ただ、いざ表に出る場面になると苦手意識が強く、最終的には辞める選択をしました。

転機になったのは、母が運営する幼児教室を手伝うようになったことです。関わるうちに「もっと小さい年齢向けのクラスにも需要があるはず」「時間帯を分ければ施設代を抑えられる」「他の地域でも通用するはず」と考えるようになりました。少しずつ展開した結果、3年程で1教室から10教室へと増やすことができました。

――一気に10倍ですか!?それは驚きですね。

この頃に「自分が表に出なくても結果を出すことはできる」とマネジメントの面白さに気づき、母が先生として表に立って、僕は事業戦略を組んでいました。

――飲食業界に入ったのはいつでしょうか。

2015年です。もともと飲食店をオープンするのが両親の夢で、父と次男で店を立ち上げる計画を進めていました。でも物件の契約1週間前に父が急逝してしまって……。当時の僕は飲食に関わるつもりがなかったんですが、母から「一緒にやろう」と声をかけてもらったんです。昔から行動力のある人だったので、一緒に取り組めばなんとかなるかなと思い、踏み出しました。 

――先ほども話されていましたが、ご兄弟の皆さん飲食店での修行経験はなかったんですよね。

そうなのですが、僕らは人とのつながりを作るのが比較的得意なので、何とかなったんです。ピザ作りの料理担当は、次男がよく行っていたイタリアンチェーン店のアルバイトで7年間石窯ピザを焼いていた方をスカウトしてきて。ほかにも、次男がデリバリーのピザ店で知り合った若いバーテンダーさんも連れてきてくれました。だから最初からある程度クオリティの高い料理を出せました。

ただ1年目は赤字でした。これはやばいと思い、幼児教室を全て閉鎖して飲食業に集中したんです。「何で利益を取るのか」「立地に対しての単価設定」を見直して、メニューをガラッと変えたら、2年目から黒字転換してきました。

――2年目での黒字転換はすごいですね!

新規集客もリピート集客も、自分でできるようになっていきました。ホットペッパー食べログの担当者さんとの打ち合わせを通じて学んで、Google広告も自分で運用するようになって。だんだん売上が伸びて、メディアにも取材されるようになりました。

それでコロナ禍に入ってたまたまタイミングよくいい物件が空いて。そのころはまだ資金もあったので、2020年に2店舗目の「肉助」をオープンしました。

――2店舗体制になってからは、経営は順調だったんですか?

ランチ需要もしっかり取れていたし、Uber Eatsと出前館を早めに導入していたこともあって、助成金も含めてですが、コロナ禍でもなんとか黒字を維持できていました。

ただコロナ明けの頃から1店舗目の「ピザコゾウ」が赤字になってきて……。

「一つも疑問がない」北原さんとの出会い、3カ月での黒字化

――黒字経営だったのに、なぜいきなり赤字になったのですか?

知らないうちに人が増え、人件費が膨らむ一方で、集客も思うようにできなくなっていたんです。さらに、数字や契約の管理も曖昧になり、店舗ごとに別々の電力会社と契約しているような状態で……。そこに法人化による社会保険料の負担や給与の引き上げも重なり、一気に赤字が膨らみ、2024年8月時点で営業利益がマイナス28%。つまり毎月150〜200万円の赤字で、あと数カ月で資金ショートするところまで来ていました。

――そのタイミングで北原さんと出会うのですね。実際に入会してみて、何か動きはあったんですか。

最初に参加した合宿で、北原さんから「会社のトップを一人決めなさい」と言われ、僕が社長になるか、分社化するか、会社を辞めるか、の3択を提示されました。帰宅したその日のうちに家族会議をして、僕が社長代理として会社を見る形になりました。

「ミーティングの機会を作りなさい」というアドバイスもいただき、毎週水曜日の朝9時半にお店へ集まるようにしました。お店が終わるのは夜11時半頃になることもありましたが、兄弟と母で必ず集まって、課題を共有し、意思決定する場を作りました。

また妻も経理に入ってくれていたので、一緒に数字を全部洗い出そうと決めました。2、3カ月かかりましたが、契約も含めてすべて見直し、必要なものは再契約するところまで整理していきました

――契約というと先ほども言われた電気会社などですか?

電力会社の契約もそうですし、母の駐車場代やクリーニング代なども見直しました。その結果、2カ月で月100万円ほどの経費を削減できたんです。その後は、売上を上げるために広告費も見直しました。過去に効果が高かった広告や、新しい広告サービスの費用対効果を調べたうえで、Google広告の導入などを進めていきました。それで2024年11月末には収支がトントンになって、3カ月でV字回復を達成しました

「あなたクソだったもんね」師匠の一言で気づいた人との向き合い方

――北原さんに教えられたことを愚直に実践した結果、成果が出たと。

はい。人って頑張ればできるんですよね。でも、結果が出たあとに、北原さんから忘れられない言葉をいただいたんですけど……。

――えっ、どんな言葉だったんでしょうか?

「あなたアカデミーに入る前、クソだったもんね」と(苦笑)

――ストレートすぎますね!その言葉を、中山さんはどう捉えましたか。

「人を大切にしていなかった」という意味だと受け止めました。当時の僕は、人への感謝や、人と一緒に何かをやっていくこと、相手の成長を待つことが全然足りていなかったんです。

精神と時の部屋(現UBM)の合宿に参加しても、北原さんから教わったらサッと帰ってしまって、他の参加者とまったく交流していませんでした。北原さんから「ちゃんと人と話しなさい」「仲良くしなさい」と言われてから意識が変わり、笑顔で挨拶をする、全員の名前を覚える、一人ひとりと話す、ということを実践するようにしていきました。 

――行動を変えたことで、仕事に変化はありましたか?

はい。人と積極的につながるようにしたことで、仕事の流れが大きく変わりました。

3店舗目の「コゾウタン」は、コンセプトが明確でなく、店長教育も不十分なまま出店してしまったため、最初は売上がなかなか伸びませんでした。 でも、北原孝彦アカデミー(※)(以下、アカデミー)で出会ったマーケターの水野かずみさんとつながったことで、マーケティングコンサルをお願いできるようになり、月商100万円から400万円にまで伸びました。

あと、アカデミーで出会った日高恵美さん丹井洋介さんと3人で、飲食店向けの勉強会を月1回開催しています。それぞれ得意分野が違っていて。恵美さんは10年ほど飲食店を続けるなかで業態転換を経験されていて、メニュー構築が得意。丹井さんはSNS運用が抜群で、お店のInstagramフォロワーも1万人を超えています。

※北原孝彦アカデミー:UBM(ビジネス行動管理大学)の学びをベースにしながら、北原孝彦のより近くで学ぶ区画。北原氏が直接指導にあたる。メンバーは経営スキルだけでなく、人としての在り方を学ぶ。

人を巻き込むことで事業は成長していく

――他にも、北原さんを信頼している理由はありますか?

分からないことを分からないと言える誠実さです。以前に壁打ちをした時に、「飲食業界は正直よく知らない」と率直におっしゃったんです。圧倒的な成功者なのに、自分を良く見せようとしない姿勢に誠実な人柄を感じました。

――中山さんのご家族や社員の方もUBMに来ていますか。

弟2人、母、社員2人、妻をUBMに連れていきました。みんな、「北原さんの壁打ち、すごいね」「疲れないのかな」と驚いていました。でも結果的に、そのとき連れて行ったメンバーは全員、辞めずに今も店に残ってくれています。

――連れて行ったことで、どのような変化がありましたか?

話が早くなりました。同じ学びの共通言語を持てたことが大きくて。みんなで同じものを見て、「そこに向かって行こう」と言えるようになったので、目標に向かう進み方が圧倒的に変わりました。

――今後、新しく取り組んでいきたいことはありますか。

今後は、地域に根差したサービスも考えています。先日、マジシャン派遣の事業を始めたい方から、「月1回、1万5000円でマジシャンを派遣したい」という相談を受けて。ただそのままだと面白くないので「どうすればその場で費用を回収できるのか」「次回予約につなげられるのか」を一緒に考えることにしました。

たとえば、卓上で「おかわりのマジックはいかがですか?」と提案し、追加料金の一部をマジシャンに還元し、残りをお店の売上にする。さらにLINEのリッチメニューにイベント情報を載せ、次回予約につながる導線も作る。うちは各店舗の距離も近いので、1日で複数店舗を回ってもらえれば、費用を抑えながら集客の機会も増やせますし。

――おもしろいですね!

僕主宰の勉強会に来てくださった方のオープンチャットにも「今度こんな新しいイベントをやります」と案内するつもりです。勉強会に来るメンバーたちも、このイベントをきっかけにお店のファンになってくだされば、それでいいと思っています。

――以前は学んだらそのまま帰っていたのが、今は人とつながりながら事業を広げているんですね。

はい。あと、勉強会に来てくださるコンサルタントや講師業など、無形サービスを提供している方々には、レンタルスペースとしてお店を使っていただくことも考えています。プロジェクターなどもありますし、営業前の午前中はスペースが空いているので、他のレンタルスペースより安く提供できます。

――北原さんがよく言う「お金をかけずにお金を生み出す施策」を実践しているんですね。

そうやって、人や事業がつながる場所にしていけたらおもしろいかなと思っています。いやぁ、今が本当に楽しいですよ!


取材を終えて

中山さんの素晴らしいなと感じるところは、「身軽さ」と「覚悟」のバランスです。お母様の教室サポートや飲食店経営など、その時々の状況に合わせて「よし、やるか!」とスッと自分の役割を決められる。きっと並大抵の覚悟じゃないはずなのに、どこか飄々とこなしてしまうのが本当にかっこいいなと感じます。

今でこそ「ゆめじい」の愛称でみんなに愛され、頼りにされている中山さんですが、かつて北原さんに「あなたはクソ」と言われるほど周囲と距離を置いていたなんて、到底信じられません。意識次第で人は変われるんだということをひしひしと感じました。

絶品だと噂のピザとお肉、食べたいです!(取材中からお腹が空いて仕方がありませんでした)近いうちにぜひお店に伺わせてください。

(記事制作:ひとひら企画/インタビュアー:渡辺まりこ、人生の軌跡グラフ制作:Emodea・相場綾香)

※掲載情報は2026年4月現在のものです。最新情報は公式サイト等をご確認ください。