【コンサルタント|深井裕樹さん】「自分のため」から「人のため」へ 北原孝彦に問われて変わった働く意味
美容系サロンを中心に、整体師やパーソナルトレーナーなど、自分の事業を伸ばしたい人たちを支える「深井塾」を主宰する深井裕樹さん。YouTubeチャンネル「ズボラストレッチ」は登録者数137万人を超え、その他のSNSでも多くのフォロワーを抱えています。さらに、雑誌での連載に加え、監修した女性向けプロテイン「スマートタンパク」は、発売初年度に2億円の売り上げを記録しました。
これだけの実績を持つ深井さんは、なぜ北原孝彦アカデミー(以下、アカデミー)に入会したのでしょうか。深井さんは北原さんについて、「こんなに僕のことを考えてくれる人もいない」と語ります。
自分のために稼ぐのではなく、求めてくれる人のために何ができるのか。北原さんとの関わりを通して、利己から利他へと考え方を変えていった深井さんは、今どのように仕事と向き合っているのでしょうか。これまでの歩みと変化について伺いました。
利己から利他へ 深井塾が向き合う事業者の根本課題

――深井塾には現在、受講生が何名いるのでしょうか。
だいたい110名ほどですね。美容系が中心で、まつげサロンやエステの方が多いです。
――受講生の皆さんは、具体的にどのような壁にぶつかっているのでしょうか。
売り上げや集客の悩みです。ただ、「なぜ数字が伸びないのか」を深掘りすると、最終的には考え方の問題に行き着きます。あとは、自分自身の手が空かないという悩みも多いですね。
――その「考え方」とは、一言で言うと何ですか?
原理原則の話ですね。シンプルに言えば、利他的か、利己的かということです。
たとえば利他的な方は「お客様の悩みを解決するために、新しい提案をしたい」と相談されます。これは、お客様を想った良い姿勢だと思うんです。でも、多くの方が、無意識に利己的になってしまっています。たとえば「子どもと旅行に行きたいし、休みも増やしたい。だから客単価を上げたい」とか。お客様からすれば、「あなたのプライベートの充実のために、なぜ私が高いお金を払わなきゃいけないの?」と感じてしまいますよね。
――確かに、そうですね。
ただ、最初から利己的だった方はいないんです。「なぜこの仕事を始めたのですか?」と伺うと、過去に自分自身が救われた経験から「人を喜ばせたいと思った」という純粋な動機が出てくるんです。それが、いつの間にか自分本位な考えにすり替わってしまっているんですね。
――そうした考え方のズレに気づいてもらうために、深井塾ではどのように受講生の課題を見ていくのでしょうか。
まずはコンテンツを見てもらい、その後の個別相談で、困っていることや目指す姿を丁寧に聞いていきます。
たとえば「売り上げを上げたい」という悩みに対して、多くの方は新規集客を求めます。でも、実際にリピート率を確認すると、3割から5割程度にとどまっているケースも多いんです。個人サロンであれば、新規のお客様の再来率は90%、既存のお客様の継続率は95%以上を目指したい。それだけあれば、予約は自然と埋まりやすくなります。ただ、多くのオーナーさんは、そもそもリピート率という視点を持てていません。だからまずは、自分のサロンの現状を数字で把握してもらうところから始めます。

受講生に直接会うために、深井さんが全国を回る理由
――深井塾の勉強会はどんな感じなのですか。
僕の自宅と、全国各地で開催しています。この仕事に集中したくて、家族で住む家とは別に、リビングが23畳ほどある家を借りました。全国での勉強会は、今年だけで21回は決まっています。今後はもう少しペースを上げていくつもりです。

――全国での開催を決めたのは、なぜだったのでしょうか。
きっかけは、北原さんに課題を出していただいたことでした。深井塾の受講生は、95%以上が女性です。たとえば地方在住の方に「東京で勉強会を開きます」と伝えても、すぐには足を運べませんよね。
ならば、こちらから出向けばいい。お住まいの近くで開けば、参加のハードルはぐっと下がります。そうして全国の一人ひとりに会いに行くために、各地で勉強会を開いているんです。ただ、目標は年間50回ですから、まだ半分にも届いていません。
――全都道府県を回るようなペースですね!
いやいや、そこまではならないです。実情としては、かなり西日本に寄っているんですよ。というのも、受講生たちとのつながりのきっかけの多くが「ビューティーワールド ジャパン」という美容業界の大きな展示会なんです。サロンオーナーやメーカーの方が全国から集まるイベントで、僕もそこで多くの方と知り合いました。この展示会の開催地が東京、名古屋、大阪、福岡の4カ所で、東京を除くと西側に寄っている。だから出会う方も、 西日本の方が多いんです。

――勉強会ではどのような話をするのですか。
最近よく話しているのは、「増やす努力より、減らさない努力」です。「お金は使わなければ減らないんです」と、毎回のように話しています。たとえば、僕が飲んでいるこの炭酸水、いくらだと思います?
――150円くらいですか……?
37円です。
――安いですね!!
近くのオーケーというスーパーで買っているんです。僕はいろいろなところに行くときも、これを持っていくので、コンビニで飲み物を買ったりしません。ちなみにこの豚汁も、勉強会でいただいたものです。とにかく、毎日一人で「お金を使わないゲーム」をしている感覚です。

固定費が高くて、支出も無駄遣いも多いと、どれだけ稼いでも手元に残らないんですよ。そうなると焦って「売り上げ、売り上げ」ってなって、目的を見失っちゃう。これはサロン経営も同じなんです。リピート率が悪いまま新規集客ばかりを追う人が多いのですが、お客様も信頼も、増やす前に減らさないことが先。だからこそ僕は、まず自分の生活でそれを実践しているんです。
挫折続きの20代から、「ズボラストレッチ」誕生まで

――深井さんの原点について伺いたいです。どんな子ども時代を過ごし、社会人になったのでしょうか
小学5年生のときに、父親が自己破産しました。それまでは3LDKのマンションに住んでいたんですが、2Kの木造アパートに引っ越したんです。大学進学という選択肢もなく、高卒で大日本印刷に入りました。1年半ほどで辞めて、その後は家系ラーメンの武蔵家に転職しました。そこで22歳で最年少店長になったんです。ただ、そこで天狗になってしまって。「俺、なんでもできます」みたいな状態になって、結局マネージャーと揉めて辞めました。

――その後はどうしたんですか。
ラーメン屋時代に坐骨神経痛になり、自分が通っていたストレッチ専門店に転職しました。お客様の体をストレッチで整える、施術者の仕事です。ただ、最初はまるで売れず、リピート率は0%。態度も接客も、すべてダメでした。見かねた店長に「日報を書いてみたら?」と言われ、仕事終わりに近くのボロいホテルのラウンジで、コーヒー一杯で明け方の3時まで粘って書き続けたんです。
続けるうちに、原因は接客だと分かり、ロールプレイングを始めました。誰よりも朝早く店に入り、店長や先輩に頼んで、300回ほど。最後に店長から「深井、もう大丈夫だ」と言われ、その後まもなく覚醒したんです。売り上げが伸び、月100万円で一流とされる業界で、月246万円を叩き出しました。

――すごいですね!!
今考えると、他信、自信、利他の流れだったと思います。店長からの「お前は大丈夫だ」という他信で自信がつき、そこから「お客様のためにしよう」と利他に変わったんです。
ただ、「俺は売り上げ1位だから、みんな俺の言うことを聞けよ」という感じで、また天狗になって。そんな状態だったので、店長選挙にも2回落ちました。3回目でようやく店長になりましたが、半年後に5歳年下の女性スタッフから「深井さんの下で働きたくないです」と言われて、その日に役職を降りました。
ただ店長を降りると給料も下がる。当時は子どもが生まれたばかりで、手取り16万円では厳しいと思って、そこからいろんな試行錯誤を始めました。
Twitterやホットペッパーで、自分の施術やストレッチのことを発信して、たくさんの人に見てもらう導線はつくれました。でも、見てくれる人が増えても、それだけじゃ収入にはならないんですよね。この“人を集める力”をどうお金に変えるか。そう考えたときに思いついたのが、YouTubeの広告収益だったんです。再生数がそのまま収益になるなら、集めた人の数を収入につなげられるなと。そこで始めたのがYouTubeチャンネル「ズボラストレッチ」でした。
今でも覚えているんですけど、朝4時に起きて勤務しているストレッチ店に行って撮影をする。撮影を終えて家に帰り、ご飯を食べて、子どもを保育園に送る。そこから仕事をしながら隙間時間に編集して、夜までにサムネを作り、なんとかその日のうちに投稿していました。これを1カ月毎日続けましたが、最高再生数100回。もう心が折れて……。
このまま小遣い1万円で一生暮らすか、YouTubeにもう一回チャレンジするか。今考えたら、「他に道はあるだろう」という話ですが、その頃の僕にはその2択しかなかった。それでもう一回頑張ろうと思い、そこから5カ月目で100万再生に達したんです。
――そこから一気に流れが変わったんですね。
初めての広告収益は初月で5万円、2カ月目には20万円。もう世界が変わりましたね。そこから友達や同僚にYouTubeの相談をされるようになり、居酒屋でご飯をご馳走しながら無料で教えていました。ただ、チャンネル登録者が増えるにつれて相談も増え、無料では続けられないと思うようになってきて。そこで有料で始めたのが、深井塾の前身にあたる「SNSアドバイス」でした。

北原さんとの出会いが、深井塾を作った
――ちなみに、北原さんと出会ったのはいつですか。
「SNSアドバイス」を始める前、2021年です。僕がよく行っていた居酒屋のオーナーさんが、いつも「北原さんっていう人がいてね」って話してくれてたんですよ。最初は「怪しい人なんじゃ……」と思っていたんですけど、一度「北原孝彦の精神と時の部屋」(※)(現・UBM(※))に入ってみたんです。そしたら、コンテンツがすごくガチで。
それで、合宿では誰よりも北原さんに質問しました。でも当時の僕は、アドバイスをもらっても結局やらないんですよ。質問だけして、行動しない。それをずっと繰り返していました。
その後、北原さんの顧問サービスが始まったので、募集の初日に申し込んだんです。ただ、その頃も顧問のグループLINEで質問して、北原さんがアドバイスしてくれても、生意気に「いや、僕はそう思いません」と返していました。
※北原の精神と時の部屋:北原孝彦が代表を務めるビジネス塾。2020年に設立し、2024年11月にUBM(ビジネス行動管理大学)に改称。
※UBM(ビジネス行動管理大学):北原孝彦が代表を務めるビジネス塾。2020年に「北原の精神と時の部屋」として設立、2024年11月に現名称に改称。
――当時は、なかなか素直に受け取れなかったんですね。
そうなんです。今思えば、素直さも学ぶ姿勢もなかった。質問だけはするのに、答えはちっとも聞き入れない。要は、北原さんから小手先のテクニックやノウハウだけを引き出そうとしていたんですよね。それでも学んだことを参考にしながら、「SNSアドバイス」を進めていきました。

――「SNSアドバイス」事業は、どのような変化があったのでしょうか。
進めていくなかで、「SNSじゃねえな」という結論になりました。SNSで集客する以前に、相談に来る方たちはリピート率が悪いし、集客しても売り上げが上がっていない。もっとそもそものところを見直さなきゃいけないと思ったんです。そこで、サービス名を変えようと思って北原さんに相談したら、「深井塾でいいんじゃない」と言われました。それをきっかけに、深井塾がスタートしました。
「本当にその人生でいいのか?」北原さんの言葉で変わった価値観

――深井塾を作って以降、北原さんと関わっていくなかで、どんな考え方に変わっていったんですか。
利己的だった自分が、利他的に変わっていきました。実は半年前までは、僕はかなり利己的な人間だったんです。顧問期間が終わる頃に、北原さんから「深井さんは利己的だ。もっと利他的にならなきゃダメだ」と言われて。
初めて聞いたときは、「何言ってんだ」と思いました。旅行に行ったり、酒を飲んだり、自分のしたいことをやるために稼ぐんじゃないかと。「みんなのために何かするんじゃない。俺は俺のためだ」と思っていたんです。でもその頃は、深井塾もズボラストレッチもある程度落ち着いていて、ちょっと暇で……。お金はあるのに、「これでいいのかな」と思っていた時期でもありました。

――でも今は、北原孝彦アカデミー(※)(以下、アカデミー)に入会しています。それはなぜでしょうか。
北原さんに「本当にその人生でいいのか?」と言われたんです。そのときに、こんなことをここまで真剣に言ってくれる人はいないなと思って。
当時は栃木県に住んでいたんですよ。家族とも別々に暮らしていて、家族にも受講生にも「遊びにおいでよ」ってよく言ってたんですけど、栃木県ってすごく来づらい場所で。だから、なかなか来てもらえなかったんです。めちゃくちゃ暇で、ひとりぼっち。なのに、お金だけはどんどん増えていく。なんとも言えない感じでした。
※北原孝彦アカデミー:UBM(ビジネス行動管理大学)の学びをベースにしながら、北原孝彦のより近くで学ぶ区画。北原氏が直接指導にあたる。メンバーは経営スキルだけでなく、人としての在り方を学ぶ。
――北原さんの言葉を受けて、深井さんのなかで変化はありましたか。
大きく変わりました。利己から利他へ、考え方そのものが切り替わったんです。もともと、深井塾に受講生が来てくれたり、感謝されたりするのは好きでした。でも、それまでは結局、自分のお金のために人を集めていた。そうじゃなくて、もっとみんなのためにしたい。そう思うようになって、Instagramでこう宣言しました。「考え方を変えました。今までずっと利己的でした」と。
これまでは「自分が稼ぎたい」が出発点だったんです。受講生で言えば、自分が稼ぎたいからお客様に物販を売る、客単価を上げる。でも、自分がされたら嫌じゃないですか。僕はそれを皆さんに伝えてしまっていた。だから、「ごめんなさい」と謝ったんです。受講生からは「そう素直に言えるのは素晴らしいです」と言ってもらいました。普段、強気に発信している僕のような人間が「自分を変えます」と言うわけですから。

――ほかに深井さんのなかで変えたことはありますか。
いつローンチして、何人集客し、売り上げをどの程度上げるのか、という計画をすべてやめました。深井塾の案内も、行動コミットコースの案内もしていないです。今は、人生を伴走するために人の悩みを聞いています。
あとは、支出を下げたことも大きいです。以前は全部タクシー移動で、毎日のように飲み歩いて、旅行で沖縄にも行って。自炊なんて絶対にしなかったですから。
――数字で言うと、以前は月にどの程度使っていたんですか。
月200万円以上は使っていたんじゃないですかね。お金の管理もぐちゃぐちゃだったので、経費かどうかも曖昧でした。下手したら、300万円使っている月もあったと思います。今は半分以下ですね。移動も自転車になったし、食事も自炊です。
作りたい未来より、求められる今を生きたい

――最後に、深井さんは深井塾での活動を通して、どんな未来を作っていきたいですか。
ないです。
――え? ないんですか。
ありません。ここが最近、北原さんに言ってもらって「そうなんだな」と思ったところなんですけど。「深井さん、本当は根本は利他だよね」と言われたんです。僕は「え?」と思ってポカンとしたんですけど。
でも考えたら、ズボラストレッチは僕がしたいことをしたわけじゃないんですよ。「これ求められているよね」と思って、僕ができることをしたんです。深井塾も、僕がしたいことをしたわけじゃないです。質問を受けることが増えたから、深井塾という形にしたんです。
――確かに、そうですね。
正直、僕がしたいことは一つもしていないんです。僕が本当に今したいことは、沖縄で観葉植物ツアーなんですよ。「今日は、この多肉植物アガベを紹介していきます」みたいに。でも、誰も僕のそんな話なんて聞きたくないじゃないですか。
今行っている「人生伴走コース」や「行動コミットコース」も、みんなから「ぜひ」と言われて始めたものです。これからも、求められたことをやっていこうと思っています。
取材を終えて
深井さんは、アカデミーでもトップクラスの個性的な方だと思います。冬でも半袖で、常に移動は自転車。初対面のときには、自作の「ズボラストレッチシール」をくださいました(笑)。
そんなユニークさの一方で、お話を伺って驚いたのは、これほど大きなマインドチェンジを経てきたということ。利己から利他へと考え方を切り替え、北原さんの教えを生き方ごと完全にトレースしている。深井さんの言動には一貫性があります。ここまで筋が通っていれば、迷うこともなく、気持ちよく生きていけますよね。この先、深井さんはどうなっていってしまうのか、いい意味で予測がつかない、そんなワクワクが残る取材でした。
(記事制作:ひとひら企画/インタビュアー:、人生の軌跡グラフ制作:Emodea・相場綾香)
※掲載情報は2026年4月現在のものです。最新情報は公式サイト等をご確認ください。

