【ビデオグラファー|加藤良輔さん】事故で見つめ直した人生。仕事ゼロのどん底から映像制作の依頼が広がるまで
横浜市を拠点に、プロモーション映像やセミナー撮影、YouTube制作などを手がけるビデオグラファーの加藤良輔さん。企業の事業紹介やサービス紹介などを中心に、見る人に伝わる映像作りに取り組んでいます。
加藤さんが映像制作で大切にしているのは、「何を伝えたいのか」を明確にすることです。かっこよく見せるだけではなく、事業やサービスの魅力が届くように、映像の方向性を丁寧に組み立てています。
かつては声優や俳優を目指していましたが、生死に関わる大けがをきっかけに人生を見つめ直し、新たな道へ進むことを決めました。その後UBM(※)と出会い、映像制作の仕事が少しずつ広がっていきます。
人とのつながりのなかで、今の仕事にたどり着いた加藤さん。これまでの歩みと、映像制作に込める思いを伺いました。
※UBM(ビジネス行動管理大学):北原孝彦が代表を務めるビジネス塾。2020年に「北原の精神と時の部屋」として設立、2024年11月に現名称に改称。
誰に、何を届けるか。メッセージングを徹底した映像制作
――まずは、現在のお仕事について教えてください。
RK.Videographerという屋号で、映像制作をしています。UBMに入った当初は、YouTubeの制作代行を中心に事業を構築しようと考えていました。
しかし、UBM入会後にさまざまなご縁をいただき、現在はプロモーション映像やセミナー撮影など、企業向けの動画制作が中心です。
YouTubeについては、現在『北原孝彦のコンサルティング』のチャンネル運営を任されており、撮影、構成、編集、ナレーションまで担当しています。
毎月行われている北原さんのコンサルティングを撮影し、実際に現場で見ていて学びになるものをピックアップして編集しています。
事前に打ち合わせはないので、どの相談内容が動画として使えるかは、撮影してみないと分からないところがあります。撮影しながら、内容や自分の考えをメモしておいて、自宅に戻ってからどの相談をピックアップするか考えています。
動画を制作するなかで、音声とテロップだけでは内容が分かりづらく感じる部分もありました。そのため、相談者のプロフィールや課題、北原さんの回答を、動画内に図解として入れるなど工夫をしています。

――企業向けの動画制作では、どんな映像を手がけていますか?
主に、依頼主の事業やサービスを紹介する動画です。企業ホームページのトップに載せるような1分ほどのものから、5〜10分ほどかけて詳しく説明するものまで、長さはさまざまです。
――セミナーを撮影した動画は、どのように活用されるのでしょうか。
セミナー参加者の復習用や、欠席者への共有用としてアーカイブ動画を会員サイトにアップロードされることが多いですね。さらに、重要な部分を切り出してYouTubeなどに二次利用することもあります。
一度撮影しておけば、その後さまざまな形で活用できますし、活動実績という意味でも記録しておくことは大事だと思います。
先日は、SNS運用代行を手がけるエシカル・スカイジャパン株式会社代表の荻原空(おぎわら・そら)さんからご依頼いただき、勉強会の撮影をしました。
――映像作りで大切にしていることは何ですか。
何が主題で、何を一番伝えたいのかを明確にする、メッセージングを常に心がけています。
お客様によって、最初からイメージが明確な方もいれば、まだはっきりしていない方もいます。イメージがあいまいな場合は、ヒアリングの内容をもとにある程度こちらで形にしてから、擦り合わせていきます。
――メッセージングというと?
たとえば、起業家カンファレンスのオープニング映像では、事前ヒアリングで「未来への一歩を変えたい」という前向きな来場者が多いことを伺いました。そのため、来場者のやる気を奮い立たせるような力強い演出にしました。
――動画を作ることで、事業にはどんな効果があるのでしょうか?
動画を1本作ったからといって、すぐに数字で効果が見えるものではないと思っています。その意味では、ホームページやパンフレットに近いかもしれません。
動画の良い部分は、顔が見えること、声を使って発信できることです。事業の品格や真意、信頼性を伝えるものになり得ます。そのため、対外的に事業をきちんと伝えるためには必要なものだと考えています。
サービス紹介であれば、そのサービスが何なのか、商品にどんなメリットがあるのかを、視覚的にも聴覚的にも伝えられます。説明が必要なものを分かりやすく届けるという点で、動画には役割があると感じています。
――これまでに、どんな業種の映像を制作しましたか?
薬用化粧品の製造会社さんや、産業機器メーカーさん、不動産の売買仲介サービスなどがあります。
UBMのつながりでご紹介いただいたお仕事も多いです。たとえば、ハウジングネットワークサービス株式会社様の不動産売買仲介サービス「シェアバリュー」の紹介映像はUBMの丸地かなさんのご紹介で制作しました。幅広い年齢層に親しみやすく、分かりやすい動画を目指しました。
――UBM関連でいえば、どんな映像を担当したんですか?
UBMの合宿のオープニング映像を担当しました。その映像を見た方から「すぐに加藤さんが作った映像だと分かった」と言っていただいたことがあります。
文字や顔を大胆かつ次々と出してインパクトを出し、会場のテンションが上がるような雰囲気作りを意識しました。
声優と俳優を目指すも、事故で人生を見つめ直す
――加藤さんのこれまでについても聞かせてください。高校卒業後は、どのような道に進んだのでしょうか。
高校卒業後は大学に進学せず、声優を目指して養成所に通っていました。もともとゲームやアニメが好きだったこともありますし、いろいろな表現ができるということで、声優に憧れていました。当時好きだった声優は、大塚明夫さんや野沢那智さんです。
表現活動自体に興味があったので、並行して劇団の養成所にも通い、舞台俳優にも挑戦しました。
――養成所を卒業した後は、どんなことを?
20歳で養成所を卒業し、声優や俳優の修行をする傍ら、派遣社員として家電量販店で働いていました。パソコンの販売員です。
そこで仕事ぶりを認めていただき、店頭販売員から裏方のコールセンターに移りました。スーパーバイザーとして働いた経験もあります。
声優と俳優を目指していたのですが、26、27歳のときにロードバイクで事故に遭い、人生を見つめ直しました。
――事故……!どのような状況だったのでしょうか。
ある夜、ロードバイクで道を走っていました。緩い下り坂のカーブを曲がるとき、ちょうど砂利があったようで、滑って転倒しました。いつもはヘルメットをかぶっていたのですが、その日はたまたまかぶっていなかったんです。
頭から血が出ていたけれど体は動いたので、再びロードバイクに乗って家に帰りました。
体が血と砂利でかなり汚れていたので、シャワーを浴びて寝ようかなと思っていたところ、当時付き合っていた今の妻が「絶対すぐに病院に行ったほうがいい!」と救急車を呼んでくれて。その後の記憶がなく、目覚めたら集中治療室にいました。
――奥様の判断が、的確だったのですね。
そうですね。妻は命の恩人です。そのこともあって、ちゃんと身を固めて、この人を幸せにする人生を送らなければいけないと思うようになりました。それが、声優の道を諦めたきっかけの一つです。

誘われたから始めた、映像の仕事
――事故後は、どのような道に進んだのですか?
外資系大手IT企業の募集に応募したところ、正社員として採用されました。営業職として、大学生協や専門学校、新入学生の方向けにパソコンを販売する仕事です。
――大きな環境の変化があったのですね。
私は会社に残るよりも次の道を考えようと決意し、転職を選びました。
しかし、転職活動は思うように進まず……。就職先がなくて悶々としていたところに、いとこから声がかかったんです。
――どのようなお話だったのでしょうか?
当時、いとこは個人事業主として、建築現場向けに映像の撮影やドローンの仕事をしていました。その彼が法人化して映像会社を立ち上げることになったので、一緒にやらないかと声をかけてくれました。
仕事内容としては、どちらかというとバックオフィスの構築や裏方の整備がメインです。

――写真や動画の撮影は、もともと経験があったんですか?
いえ、本格的に映像を作ったり動画や写真を撮ったりするようになったのは、映像会社に入った年からです。それまでは、スマホで少し撮るくらいでした。
2023年の夏から秋頃にジョインしましたが、やり方の違いもあり、2024年3月に退職しました。そこから自分で事業を立ち上げようと思い、UBMに入りました。
――北原さんのことを知ったきっかけは?
YouTubeです。映像制作会社に入ったとき、初期メンバーは取締役として入る形だったので、自分も事業のことを考えなければいけない立場でした。そのため、映像の勉強や事業構築について学ぶために、YouTubeをよく観ていたんですね。そのなかで、北原さんの動画に出会いました。印象的な動画は『1年で年商0から1000万!この1本でビジネスの全てが理解できる秘密のノウハウ大公開!』です。
――UBMになぜ入ろうと思ったのでしょうか。
動画のなかで北原さんが話している内容は学びが多く、自分にとって道しるべになるという感覚があったんです。加えて、UBMの教育体制や運営の部分もしっかりしていると感じたので、入会を決めました。
入会するなら北原さんの近くで学びたいと思い、弟子区画(※)に入りました。北原さんの近くで学べるこの区画に入るための条件は「3年間辞めないこと」です。一人で事業を立ち上げたら途中で挫折しそうだと感じたので、あえて「辞めない」と宣言して、継続して学べる環境に身を置きたいという気持ちもありました。
※弟子区画:「3年間は挑戦から逃げない」と北原孝彦と約束した人が参加する。毎月の月報提出に加え、弟子合宿では全員が活動報告を行う。現在は募集を終了している。

――映像会社を辞めてから、どんな動きをしたのでしょうか。
北原さんがよくお話ししている「セーフティーゾーンを守る」という考え方に合わせて、派遣会社で働き始めました。最低限の収入を確保しながら、週末に少しずつ映像制作を進めようとしたんです。
ただ、その後に体調を崩して休職することになり、派遣の仕事を退職しました。それがきっかけで、2024年8月に映像制作の開業届を出したという流れです。
どん底から救われたのは、一本のLINEだった。UBMで広がった仕事とつながり
――起業後、最初のお仕事はどのようなものでしたか?
UBMのお仕事です。UBMに入会して間もない頃に体調を崩し、何も進められず、かなり落ち込んでいました。当時は会員用に「時の部屋(現在のUBM)保健室」という公式LINEがあったので、そこで自分の状況を打ち込みました。

内容は、休職中であること、映像の仕事が0の状態であることなど、さまざまな不安を吐き出すとともに、「それでも映像の事業をしていくことに迷いはない」という決意を書き連ねた感じです。そのLINEを見た北原さんのマネージャーの山田慶さんが気にかけてくれて、「一度、北原さんの動画を編集してみませんか?」と声をかけてくださいました。
その動画自体は公開されなかったのですが、内容を評価していただけたようで、UBM講師・松下めぐみさんのYouTube動画を制作するお話をいただきました。ありがたいという気持ちが大きかったです。手を差し伸べてくださるなら、全力でやろうと思いました。
――UBMに入って、一番大きく変わったことは何でしょうか。
月報を出したり、アクションプランを見直したり、自分を振り返って管理する時間を持つようになりました。今までは忙しさにかまけて、おざなりにしていた部分です。
また、自分の頭だけで考えていたことを、誰かに相談したり、見てもらったりできるようになったことも大きな変化です。
――人との関係性について、考え方に変化はありましたか。
関係性を構築する大切さは、北原さんがずっとおっしゃっていることです。その捉え方は、かなり変わったと思います。
たとえば、動画の編集の仕事はチャットツールだけのコミュニケーションでも完結してしまう仕事です。でも今は、「一度はビデオ通話で顔を見ながらお話ししよう」と自然に思うようになりました。それが売上に直結するわけではないのですが、関係性を育むために行っています。
仕事をいただくことも、ご紹介をいただくことも、結局は人との関係性のなかで生まれていると実感するようになりました。
――現在は北原孝彦アカデミー(※)(以下、アカデミー)にも入会していますね。どのような学びやつながりがありますか。
はい。さまざまな勉強会に参加しているので、いろいろな方と挨拶を交わす機会があります。価値観を共有できる仲間がいることが、とても心強いですね。事業をしていると、成果がどうしても出づらい時期があります。そのときに、大事にするべきものを確認し合える仲間がいることで、明るい未来を信じて歩めることが、とてもありがたいと感じています。
※北原孝彦アカデミー:UBM(ビジネス行動管理大学)の学びをベースにしながら、北原孝彦のより近くで学ぶ区画。北原氏が直接指導にあたる。メンバーは経営スキルだけでなく、人としての在り方を学ぶ。

悩む人を巻き込みながら、ポジティブな道を進んでいきたい
――今後は、どのように人とつながっていきたいですか。
お互いに気持ちの良い関係でいたいです。抽象的かもしれませんが、無理に広げていくというより、今あるつながりを大切にしながら、必要としてくださる方に映像で貢献していきたいという思いです。
――最後に、これから取り組みたいことを教えてください。
自分の人生、どうしたらいいか分からずに立ち止まっている人は、たくさんいると思います。かつては私もそうでした。でも、北原さんと出会って人との向き合い方を変えたことで、ポジティブなスパイラルに入っていくことができました。
だからこそ思うのは、これからは自分の力で、みんなを笑顔にしたいということです。悩んで落ち込んでいる人や、立ち止まっている人を巻き込みながら、楽しいことをしていきたいですね。
そうした活動を、北原さんの近くでできたらいいなと考えています。映像制作を通して、いろいろな人のお役に立っていきたいです!

取材を終えて
お話を伺っていて何度も出てきたのが、「ありがたい」という言葉でした。手を差し伸べてくれた人、声をかけてくれた人、支えてくれた奥様など、加藤さんはその一人一人をちゃんと覚えていて大切にしている方なのだなと感じます。
受けた恩を「これからは自分の力でみんなを笑顔にしたい」という思いに変えていく姿が、とても素敵でした。これからも加藤さんの動画を、楽しみにしています!
(記事制作:ひとひら企画/インタビュアー:渡辺まりこ、人生の軌跡グラフ制作:Emodea・相場綾香)
※掲載情報は2026年7月現在のものです。最新情報は公式サイト等をご確認ください
